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お酒と蕎麦

LAST UPDATE: 2001/1/12

麹と酵母

消化酵素の話をやりとりしているうちに,麹と酵母の話題に。
お酒作りに欠かせない二つの菌について,役割の違いなどを説明しています。
沖縄旅行の後だったので,泡盛に使用する黒麹についても書いています。

この翌年に,東京大学で坂口謹一郎博士の残した泡盛の黒麹菌が発見され,
戦前の泡盛の復活させる動きに繋がります。
この黒麹で作ったお酒は瑞泉から「御酒(うさき)」の名前で2000年に発売されました。


◆麹と酵母

消化酵素の話が出たついでに,麹と酵母の話もしたかったんですが。
先日沖縄に行った時に,黒麹の話が出たのを覚えてますか?

どうも酵母と麹が混同されていたようです。

お酒は全て酵母によってアルコール発酵します。
ビールはイースト,日本酒は日本酒酵母。
酵母は,味を決めるもっとも重要な要素なので,現在ではほとんどが協会酵母
と呼ばれる純粋培養した酵母(6号〜13号,吟醸は9号が良く使われる)が
使われています。
その他に,各地の試験場で培養された新種の酵母も活躍しています。

その前に,澱粉を糖に分解する必要がありますが,これを行なうのが麹カビで
す。
麹カビは菌群なので,単一の純粋菌ではありません。
日本酒の場合は黄麹カビ,泡盛や薩摩,八丈島の焼酎は黒麹カビを使います。
麹も澱粉とたんぱくの分解を行い,お酒の風味に微妙な影響を与えます。
麹カビは専門の麹屋が培養していますが,各蔵の麹室にも麹カビが付着してい
ますので,さまざまな麹がまじりあっていると考えられます。

昔から麹カビは使われていたものの,酵母の存在は判りませんでした。
そこで生(き)もとが使われました。
麹と米と水を混ぜた醪(もろみ)を,低温で発酵させることで,乳酸菌を発生
させ,乳酸に弱い野生酵母を殺菌します。そのあと自身の乳酸で乳酸菌が死滅
し,雑菌のいなくなった状態で温度を上げると,自然に日本酒酵母だけが生き
延びて繁殖し発酵が進みます。
この時,麹による糖化と,酵母のアルコール化が同時に進みます。これが日本
酒特有の複発酵です。複発酵により,酵母の活動期間が長くなり日本酒はアル
コール濃度が高くできます。(原酒で二十度)
現在は培養した酵母を大量投入しますが,昔は空気中の酵母を使っていた訳で
す。

おそらく泡盛の黒麹も,同じように自然の酵母を利用したと思われます。

現在の泡盛は,黒麹を鹿児島から取り寄せているため,味が均一化してしまっ
たとデン先生は言っていたわけです。

鹿児島では芋焼酎に黒麹を使っていたわけですが,麹の菌群から,特定種だけ
を培養する方法を使ったようです。本来の麹は多様性があるわけですが,単一
種にして効率をあげたのでしょう。これを沖縄でも輸入して使うようになった
と思われます。
原因の一つは,那覇周辺に集中していた蔵が戦争で壊滅したため,従来の黒麹
カビが失われたのではないかと思われますが,詳しい事は判りません。

日本酒でも蔵付きの麹を復活させて云々と説明していたのですが,これは酵母の
間違いでしょう。麹カビは今も蔵付きのモノが混じっている筈です。

酵母は完全に純粋培養になってしまい,画一化してしまっていますから,新種
の発見が重要課題になっています。かつては各地方の名蔵から分離された酵母
ですが,協会酵母として頒布され占有してしまったために,特色がなくなって
しまいました。
そこでまた,新たな酵母を探し求めているわけです。

たぶん泡盛も酵母を投入していると思うのですが,その種類を書いた文献は見
当たりません。

ちなみに,ビールやウイスキーなどの場合は,麹カビの代わりに麦芽に含まれ
る酵素を利用して糖化を行なう訳ですね。でイーストを入れる。
ワインの場合はもともと果糖ですから,ブドウの皮につくワイン酵母だけで良
い訳です。
麹は米につく日本酒用の他に,大豆の澱粉,蛋白を分解するみそ麹,醤油麹も
あります。もちろん麦の麹もあります。探せば大概のものはあるようです。

と,長々書いてしまいましたが,麹と酵母の関係は判って頂けたでしょうか。

おっともう2時。(^^;
おやすみなさい。

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     月桃 sannin
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98/07/30
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