LAST UPDATE: 2001/3/17
3月中旬に県北,一迫町の「綿屋」金の井酒造を見学しました。
普通は見学を受け付けていないのですが,特別に見せていただけることになりました。
「綿屋」ブランドの仕込みとしては6回目。商品としては5回目の造りになるそうです。
10時半に旭丘駅を出発するはずが,連休のせいか予想外に街中が混んでいて遅れる(^^;
高速を飛ばして,築館に着いたのか11時過ぎ。
これは余裕かと思ったのだが,築館のレストランで食事をしたら,なかなか出てこ
なくて,稼いだ時間を消費する(笑)
おばちゃん,愛想が無いが,料理は美味かった。
しかし,どう見ても自分たちは学生には見えないと思うのだが(^^;
◆◆
1時半から「綿屋」さんを見学。
通り沿いに綿屋薬局と酒店が同じ建物になっている。
この裏側が蔵。
なぜ薬屋かと思ったら,奥さんが薬剤師で,三浦専務自身も薬学部出身でバイオの研
究をしていたのだそう。
最初に,現在の日本酒の置かれている状況から。
「今年度も100軒の蔵元が廃業し,全国で1600軒に減少した。
毎年100軒ずつ廃業している。
この状況はまだ続き,1000軒までは一気に減るだろう。
ここで商売的には楽になるので,ペースは落ちるかもしれないが,最終的には全国で
500軒,最悪300軒にまで減少すると予想される。
(この話は他のルートでも聞いたので,かなり浸透している予想モデルらしい)
日本酒の消費が落ち込む中,五代以上続いてる蔵は法人化でなんとか乗り切っている
が,明治以降創業の三代目くらいの蔵は,相続税などで蔵の敷地すら維持するのが
難しい状況になっている。
難局を生き残るためには,少しでも早く,売れるお酒を作り,販路を確保しなくては
いけない。
やる気のある若手の蔵元がいても,その熱意や才能を活かせる環境を得るまでが難し
い。親との関係,老人の多い蔵人との関係。
仙台の狭い市場だけでは売れる量は少ない。全国に販路を広げるためには同じ県内で
協力して,酒造県としての知名度をあげる必要がある。
蔵の中は,ほとんど仕込みが終了し,吟醸のタンク5本,純米1本を残すのみ。
今年は41本(前年比5本増)を仕込んだ。
生産高は550石。
春先に新酒で出荷する分は熟成を早めるために常温に置いてあるが,それ以外は
すべて冷蔵庫に保存している。(普通酒はタンク貯蔵)
これからは冷蔵保存は必須。
洗米,蒸米は一番肝心の仕事。
ここで失敗すると後で取り返しがつかない。
限定吸水で,甑で蒸す。
ただし洗米は機械を使用。機械に任せられる部分は楽にする。
麹室は独自の総床。
湿度管理と温度管理でコントロール。
切り返しは行わない。
吟醸もこれで造っている。
「乾坤一」「栗駒山」も同じ床を使用。
麹室前には4畳ほどの枯らし室を新設。
ここで除湿機で乾燥をすることで,時間が経っても力価の高い麹にすることが出来る。
「この麹で今年はかなり良い仕込みが出来た。」
吟醸のモロミタンクを覗かせてもらう。
1週間から10日目のモロミ。
良い香りが漂う。室温は5度。
基本的には雰囲気温度でコントロール。
吟醸のモロミ期間は28日〜。
「この時期の吟醸は,日本酒度が切れなくても(+度数が上がらなくても)適当な時期に
絞ることで,素直な味を出せるので,遊びの要素があって楽しい。」
槽(ふね)は問題が多いので使用していない。
佐瀬式の圧搾機を使用。
薮田と似ているが,部品がプラスチックのため,圧力が低いこと,ゴムや金属部品を
使っていないので,味への影響が少ない。
槽だと二日かかるのが一日で絞れる。時間がかかると空気に触れることで不要な熟成
が進むし,槽の場合は袋の洗浄でにおいが着いたりの問題もある。
当時,一緒にこの圧搾機を入れた蔵は,今ブレークしている。
基本的に「綿屋」は無濾過。
仕込み水は小僧山水から水道が引かれているので,これを限外濾過器で濾過して使用
している。
「最終的に,お酒の味は水の味に左右されるので大切。」
以前はタンクローリーをリースして運んでいた。
蔵内の見学の終わった後,事務所で利き酒。
リーデルの大吟醸用グラスは初めて実物を見た(^^;
たしかにこれは香りが良く判る。
自分でも欲しくなったが,高いんだよなあ。
蔵内の見学前に,冷えた状態でも利き酒したのだが,室温まで温度が上がった状態では
かなり味が変わって感じられる。
今期の特徴あるお酒ということで,4種類。
山田錦60%,八反40%大吟,山田錦?吟醸仕込み(廉価版),実験的に造った低アルコ
ール酒。
山田錦は素直なパランスで綺麗にまとまっている。
今の時期からこれだと,まとまりすぎ?
山田錦らしい味は,ちょっと私的には合わないかな。
八反は温度が低いと渋みを強く感じたが,温度があがるにしたがって丸みを持って
きて飲みやすくなる。まだセメダイン臭を感じるが,熟成したらかなり良くなりそう。
玉山杜氏の趣味のお酒だそう。
吟醸仕込みは,やはり価格的なものもあり,アル添が浮いている感じ。
でも比較無しで飲んだら,美味いと飲むだろうなあ(^^;
低アルコール酒は,林檎系の酸味と香り。でも日本酒でこれを造る意味は無いと
三浦専務も考えているようだった。あくまで実験。
このあと,宮城MY酵母を使った純米酒も利き酒。
低酸で香りのあるお酒。吟醸にも使えそうとのこと。
飯米のササニシキ50%のお酒も。
玉山杜氏は飯米は駄目と言われるが,悪くないと言う。
「綿屋」の味は目いっぱい酸度を出していると言う。
酸とアミノ酸のバランスが大切。
アミノ酸を押さえて酸だけ出すと,パランスが崩れる。
パランスが取れていると,酸味を感じない。
このパランスは熟成によって変化するので,一番良い時期を選んで出荷している。
そのため年間を通じて同じモノは出していない。
毎月,その時期一番味が乗ったものを出荷している。
酒販店にも長く置かないようにお願いしている。
「綿屋」は関西から売れた。西のほうが酸のあるお酒が多い。
その後ワインブームが後押しして,東でも酸のあるお酒が売れるようになった。
熟成酒は,今は品物が不足してる状況なのと,保存する資金力が必要なのでまだ
やっていない。2年後くらいにはやりたい。
1月に出したコットンクラブは,つなぎの商品だが,低価格での品質競争に対する
挑戦の意味もあった。やや高めでも,これだけの品質を出せば売れるというプレッ
シャーをかけた。
◆◆
最後に,小僧山水の水系,小僧の滝に案内していただいた。
この付近はまだ雪が残っており,かなり冷える。
玉山杜氏を迎えて5年。評価の高い綿屋だが,これからも新たな挑戦は続く。
三浦専務にお礼を述べ,お別れした。
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月桃 sannin
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